離婚 公正証書

離婚する夫婦が離婚についての取り決めについてキチンと話し合っておかなければなりません。
その内容はただの口約束ではなく、書面に残しておくことをおすすめします。、
その夫婦の離婚に際しての取り決めた文書が「離婚協議書」になります。
離婚協議書にはきまった書式などはありません。
縦書きでも横書きでもかまいません。
用紙のサイズも自由です。
なんなら、ただの箇条書き程度でもOKです。

しかし、そんな自由に書ける「離婚協議書」だからこそ、ただの私的文書にすぎず法的な効力は弱いのもまた事実です。

万一、取り決めた約束が実行されない場合離婚協議書に基づいての相手の財産を差押でする強制執行まではできません。
そんな場合は家庭裁判所に調停や裁判を申し立てなければならず、その時に役立つのが「離婚協議書」にすぎません。

そこで登場するのが離婚に際しての「強制執行認諾の約款を付けた公正証書」です。
強制執行認諾(きょうせいしっこうにんだく)とは
「ここに書かれた取り決めを破ったら、強制執行されても文句はありません」
という意味です。
これを公正証書に一文入れておけば強制執行も可能になるのです。

しかし、いくら万一に備えて強制執行ができるようにしておきたいと思っても、公正証書まで作るのちょっとハードルが高いと感じるかもしれません。
そこで知っておいて欲しいのが
離婚の公正証書は公証人が作成してくれる
ということです。
ですから離婚に関する協議の内容を口頭で伝えることでも離婚の公正証書は作成できます。
ただし、口頭では伝え漏れの危険性もあります。
ですから、夫婦で離婚について話しあって決めた取り決めをきちんと公証人に伝わればいいのですからメモ程度でもかまいません。
できれば離婚協議書を作成して公証役場に持参し、それをもとに作成してもらうのがベターです。

でも、離婚の公正証書を作り方を知っておくうえで気を付けて欲しいのが「養育費」なんです。
「公正証書があるから安心!」と勘違いしないでくださいね。

離婚の公正証書のひな形や作り方は意外と簡単

離婚 公正証書
離婚に際しての公正証書の作り方は意外と簡単です。

①離婚協議書のひな形を用意して公証役場で公正証書作成の依頼をする

公証役場に出向き、公正証書にする内容を公証人に伝えます。
口頭でも可能ですが、文書にまとめておいた書面を持参するのが確実です。

この作成依頼は、夫婦のどちらかが一方だけでも可能です。
しかし、最終的に公正証書を完成させる調印手続き時には夫婦二人で公証役場に出向く必要があります。

必要な物

②公証人が原案を作成

公証人が作成した離婚の公正証書の原案が郵送かファックスで送られてきます。
その内容に誤りや漏れがないかチェックします。

③調印日を予約する

送られてきた離婚の公正証書の原案に訂正がなくなった段階で、公正証書の調印日を定めます。

④公証役場で公正証書に調印

公証人が離婚の構成長所を読み上げ、その内容の再確認を行った後、その公正証書に夫婦二人で署名捺印をします。

必要な物

・実印
・手数料

⑤公正証書の正本・謄本を受け取る

財産分与や養育費など支払いを受ける側が正本を受け取ります。
それは「強制執行には正本が必要」だからです。
ですので正本は大事に保管しておいてください。

離婚の公正証書の作成費用はそう高くはない

離婚 公正証書 費用

離婚の厚生省補の作成手数料は目的価値によって代わってk時ます。
例えば
慰謝料
財産分与
などの額によって変わってくるのです。

具体的には以下の通りです。

目的の価額 手数料
100万円以下 5,000円
100万円~200万円 7,000円
200万円~500万円 11,000円
500万円~1000万円 17,000円
1000万円~3000万円 23,000円
3000万円~5000万円 29,000円
5000万円~1億円 43,000円

目的の価額が1億円以上になる場合、プラス5000万円ごとに一定の金額か加算されます。

ただし、公正証書の内容が複雑で作成枚数が増える場合には、その作成枚数でも費用が変わります。
予め見積もりを聞いておくとよいでしょう・

また公証役場で作る離婚の公正証書には原本とその写しである「正本」「謄本」が作成されます。
「正本」「謄本」代は用紙1枚に月250円です。

なお、強制施行の手続きにはこの公正証書の「正本」が必要になります
ですから「支払いを受ける側」が正本を保管するようにしましょう。

離婚の公正証書のひな形

離婚 公正証書 ひな形

先にもお話ししたように、要は公証人にきちんと離婚についての「取り決め」を伝えなければなりません。

そこで決めておきたいのは
子供がいる場合は親権者
養育費の支払い
慰謝料について
財産分与について
子供との面接交渉について
年金分割について
です。

離婚協議書には決められた書式はないので、話し合って取り決めた事項を書いていきましょう。
とはいっても、ひな形があれば分かりやすいと思いますので紹介しておきます。

離婚印際しての取り決め事項



令和〇年〇月〇日、夫)田中一郎(以下夫という)と妻)田中花子(以下乙という)は協議の上離婚することに合意し、離婚に際しての取り決めを以下のように結びました。

①甲乙間の子、田中太郎(平成〇年〇月〇日生。以下丙という)および田中愛子(平成〇年〇月〇日生。以下丁という)の親権者は乙とする。
乙はその養育看護を担当する。

②甲は乙に対し、丙と丁の養育費として、令和〇年〇月〇日から丙丁がそれぞれ成年に達する月まで1ヶ月各2万5千円合計5万円を毎月末日までに乙指定の銀行口座位に振り込み支払う。
また、前記養育費は、物価の変動などに応じて甲乙が協議を行って増減できるものとする。

③丙または丁が入進学・入院等により特別な出費が必要になった場合には、乙の請求によって甲は乙と協議し、直ちにその必要費用を乙に支払う。

④甲は乙に対する財産分与として、以下の不動産を譲渡し令和〇年〇月〇日までに所有権移転登記手続きを行う。
登記手続きに必要な費用は甲が負担する。
【対象不動産】
土地:〇〇県◎◎市●●町●丁目123番4(地番)
建物:〇〇県◎◎市●●町●丁目123番地4 123番4(家屋番号)

⑤甲と、丙と丁への面会交流について、面会の回数、日時、場所、方法などについては、丙と丁の情緒安定に十分配慮しながら、甲と乙が協議してこれを定める。

⑥甲と乙は②および③の金銭債務を履行しない時に備え、直ちに強制執行に服する旨の記載のある強制執行認諾文言付公正証書の作成に合意した。

⑦甲と乙は、甲の年金を分割することについて合意し、乙の請求すべき按分割合を50%とすることに合意した。

⑧甲と乙は、今後相手方に対し本取り決め以外の金銭的要求およびその他の迷惑となるような一切の行為をしないことを相互に確認した

令和●年●月●日

〇〇県◎◎市●●町●丁目●番●号
夫) 田中一郎 印
妻) 田中花子 印

その他の事項としては
住居移転・連絡先変更・振込先口座等の変更通知の約束
相互のプライバシー不干渉の約束
慰謝料や財産分与の一括払いか?分割払いはその支払い方法
などもあります。

以上が離婚の公正証書を作るにあたってのひな形です。
ぜひ参考にしてみてください。
これを作成して夫婦ともに署名捺印すれば、そのまま離婚協議書となります。
離婚協議書に決まった書式はありあません。
離婚するに際して夫婦で決めた取り決めやや約束事がわかればいいのですからね。
ただそれに強制力を持たせることが公正証書化するということなんです。

子供の養育費の記載について

離婚協議書において、養育費について公正証書で取り決めをする場合、以下の点に注意する必要があります。

  1. 強制執行を行いたい場合は「強制執行認諾文言」を記載する必要があります。
  2. 一度取り決めた内容でも後から変更となる可能性があるため、変更に対応できるようにしておく必要があります。
  3. 支払い能力が無ければ、回収できない可能性もあるため、支払い能力を確認する必要があります。

以上の点に注意して、公正証書で養育費の取り決めを行うことをお勧めします。

養育費で離婚の公正証書があっても安心してはいけない

実は離婚の公正証書で養育費のことについてきちんと決めてあっても安心はできません。
なぜなら強制施行で相手の財産や給料を差し押さえるにはかなり面倒な手続きが必要なんです。


養育費をもらえる権利があってももらう方法は大変な実例

養育費未払いの強制執行の流れ

養育費未払いの強制筆耕の流れは以下の通りです。

  1. 差押する相手の情報が揃っているか確認
  2. 申立のための書類を準備
  3. 地方裁判所に申し立てる
  4. 差押え申立が成立するのを待つ
  5. 取立て
  6. 未払い分回収後、取立届を裁判所に提出する

ですから、離婚の公正証書があるだけで強制施行ができるわけではないことを理解しておいてください。
このあたり、自分だけで行うのはかなりハードルが高いのも事実です。
離婚後に相手方の財産や勤務先などをどうやって調べ上げればいいのでしょうか?
もしかしたら連絡先もわからなくなっていることもあります。
そうなってくると、やはり専門の弁護士などの力を借りなければなりません。
弁護士にいたいするとなれば、それなりの費用もかかってくるのです。

参考:養育費を払わないクズ夫が多い!その時の元妻のとるべき対策は

離婚の公正証書 + 養育費保証 で養育費のことは安心

養育費未払いの問題はなにも珍しいことではありません。
ほとんどの方が養育費につて泣き寝入りしているのも事実です。

そこで登場してきたのが「養育費保証」というものです。

養育費が万一未払いになった場合、すぐに保証会社が立て替えてくれます。
もちろん、その後は養育費を払わない相手方に保証会社が粛々と法的手続きをとって取り立てていきます。

この、養育費保証は行政もバックアップしている自治体が多いです。
その保証料を援助してくれる自治体も多いのです。
大阪市のパンフレットの一部も紹介しておきます。

子供のいる夫婦の離婚に際しては
公正証書 + 養育費保証加入
もワンセットで検討してみてください。
詳しくは以下の記事もご参考にしてみてください